世界遺産のある奈良の飛躍発展の方途を探る「中核市奈良21研究会」(奈良市民新聞社内)例会を、
令和7年1月18日(土)、衆議院議員の小林茂樹氏をお迎えし、講演会を奈良市法華寺町の奈良ロイヤルホテルで開催した。
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教育の重要性
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国会議員としての最重要任務は他国とのお付き合い、そして自らの領土を守っていく、この外交というものの他にはないと思います。外交と防衛をやらずして国会議員ではないということです。議員にはこれが大事というものがそれぞれありますが、私は教育政策を一番に考えています。これは資源の無い日本としては人材こそが最大の財産であるということです。海外から原材料を輸入して、そして加工する、何かを作る、そして輸出をしていく。あるいは医療も福祉も含めたサービス業、そして通信ネットワーク。日本の持てる財産というのは貿易や自動車産業、それから電気機器、自動車部品や半導体、こういったものが武器ですが、これらを作るのもやはり技術力です。領土が広く、資源がたくさん入る、あるいは拡大路線でいろんな支配下に置く国があって、そこから利益を吸い上げる、そんな手法は取っていないのでいかに優秀な人材がこの研究開発をしていくかということに尽きると思います。それ意外に観光もありますし、エンターテイメント、アニメ、こういったものをソフトパワー、研究開発力や技術力を駆使して国際競争に打ち勝っていく、その元は教育だということです。日本は世界で唯一の戦争被爆国として平和の構築に貢献しています。やはり戦争は絶対に起こしてはならない、起こさないために攻められない強い防衛力、軍隊を持っていく必要があるということです。最近特に思いますが、妙に物騒な事件とか事故とかが多いと思います。その元はというとその人たちがどんな人生を歩んで来たのか、家庭においてどんなことを学んで親の背中をどういう風に見てきたのかというところが大きく左右していると思います。ということでこれからますますこの妙な事件、おかしな事件、考えられないような事件が起こりますが、そういった時に日本は大丈夫だという風にする為にも高校、大学という年齢よりもむしろ小学校、中学校の頃からの教育が重要だと思います。
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教育に関する課題
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私が初当選した2012年の暮れ、文部科学部会に出席し会議を見て来ましたが、教育再生本部というのが立ち上がっていました。教育の分野で大事な項目としていじめ問題、教育委員会のあり方、教師の待遇改善、歴史教育、道徳教育、GIGAスクール構想等の他に不登校問題があります。奈良市長に聞きますと学校に行けない子どもが増えているということで、文部科学省の中である程度使い道が自由な予算の中に不登校というくだりで出せるものは無いのかということで色々調べたのですが、まだ全国的にこの問題が大きくなり始めたところです。新しい国会においては文部科学委員会の理事としてここに注目していきたいと思っています。次にいじめ問題ですが、2013年にいじめ防止対策推進法案を作りました。これは滋賀県大津市の女子中学生いじめ自殺事件が引き金となり、問題が起こればこれを解決するためには学校以外の人とも連携をしていく必要があるということと、最終的には警察の手も借りなければいけないということ、そして学校に公認心理士を配置して心の問題を解決するなど、まだまだ続いています。 それから教育委員会のあり方問題、これも大津市のいじめ自殺問題がどこにあるのかということで市と教育委員会と学校でたらい回しになり、最終的により問題が大きくなった時には解決していくのは行政であること、市あるいは県が教育大綱というものを作って教育委員会に流していくというシステムに変わっていったということです。占領下の日本では政治家と同じように教育委員を選挙で選んでいたそうです。そのうち立候補者がいなくなって形骸化し指名をすることになったのが今の状況です。そして教師の待遇改善ですが、学校の先生のお給料が少ないのは何故かというと実は残業代が制度上無いということです。基本給の4パーセントだけが先生の残業代ですよという、みなし残業代ということで支払われているので相対的に給料が民間の企業に比べて低く抑えられているということで今、ある問題が起こっています。どんな問題かというと学校の先生、教員試験の競争倍率が昔は3倍とか4倍、人気商売であった頃は10倍くらいありました。今は1倍とか2倍なんですね。3つくらいの学校を受ければ合格率が87.5パーセントでほぼ全員なんです。倍率を上げれば優秀になるというのは単純かも知れませんが全員はあんまりだと思います。これは警察官もそうなんですけど、警察官全入時代をどう思われますか?やはりある程度ふるいにかけていくことでその水準は上がっていくものだと思います。ということで学校の先生の待遇を改善して先生を目指そうという人たちを増やしていって学校の先生が真に尊敬される社会を若い人、優秀な人たちが将来の職業として学校の先生を目指す、こういった社会を作っていかなくてはなりません。
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近現代史を正しく学ぶ
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軍部が随分批判をされた大正時代、この辺りから日本と教育というものがおかしくなってしまいました。大学の統一テストにおいても近現代史はあまり出題されていません。試験に出ないから教えないのか教えないから出題されないのか分かりませんが、これはやらないといけないと思います。私も仲間たちと一緒に歴史の勉強というのを時折やってますが松原久子さんの書かれた本を見ていると江戸時代には世界の中で非常に先進的な環境共生、道徳教育がされていたとのことです。これは近現代のもう一つ前ですが、このように学校の中で近現代史を十分に教えていないということは問題だと思います。先程の不登校の問題に戻りますが母校登美ヶ丘中学校に行って不登校について聞きましたところ10年くらい前は学校で2人が不登校でしたが最近はクラスに二人ずついますということで増えていますが、これはちょっと正確にお伝えしないといけないのですが、不登校の問題が大きくなった理由のひとつは間違いなく新型コロナです。新型コロナで学校に行かない子ども達が増えてきた、学校に行かなくてもいいと、そこで学校に行こうとなるとストレスが多く壁が発生するという、このようなことだと思います。
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都市と地方の格差是正
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今、奈良県の人口はどのくらいかご存知でしょうか。144万人くらいがピークだったと思います。その後どんどん減り128万何千人とかになっています。人口と経済力は比例しますので、経済力も減っていきます。対して東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏に日本全体の人口の3分の1くらいが住んでいるという状態で固まり過ぎの状態なのです。これはちょっと言い過ぎかも知れませんが、そんな国に未来は無いと思います。イギリスはロンドン、フランスはパリ、アメリカはニューヨーク、これ首都圏ですがこんなに人口集中していません。逆に言えば地方に力が無くなっているということで、地方はまた別の道を行くぞということでそれ以外のものも奈良には有るのは間違いありません。人口が減って経済力が無くなっていって、国に対してお金をもらっていくということだけしかやらないと滋賀も和歌山も奈良も自主財源が無いので国に頼むだけで、国がそういうお金だったら出してやろうという制度に則っていかないと、この設問に答えなければお金ももらえない訳です。ということで私が考えましたのは経済の概念を見直す必要があるのではないかということです。奈良県のGDPは0.5パーセントくらいでしょう。1パーセントの予算だと1兆円です。奈良県の予算は5000億くらいです。教育も福祉も経済の一部という風に考えたらどうでしょうか。医療も福祉も経済です。私立病院もあります。公立病院も奈良県がお金を出していますから経済の一部です。そして教育もその道に進む人材を育成していくという意味においてはどんな経済の担い手を作るかはここから始まっているということですので、教育も医療も福祉も経済の一部であると、そう考えたら奈良県は優秀な人材を排出してきた人材インキュベータ県なのです。
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