仲川げん奈良市長
H氏の言動は、仲川市長の差し金か?

 業界で異端の名を欲しいままにするH建設のH社長は、こう考えた。それは、大・中・小の建設業者で構成するJV5組で入札を争う奈良市立病院の改築工事を自らが参加する大手鹿島をトップに組んだJVが手中にするためである。H社は、昨年奈良県下を席巻した遷都1,300年記念事業の、あろうことかメイン会場の修景柵工事を請け、当初の契約金額1億2,000万円を倍の約2億4,000万円余に増額して完成させ、県議会の総務警察委員会でも大きく取上げられた。県執行部は、苦しい答弁で何とか逃げ切ったが、このようにH氏は、手練手管を欲しいままにして公共工事を漁ることで定評がある。その同社が目を付けたのが奈良市立病院の改築工事である。予定価格90億4,330万円は、同市のプロジェクトとしては、久々にビッグなものである。この入札は、「総合評価落札方式一般競争入札」という、今、流行の方式で行なわれ、この1月25日が改札の日、すなわち、業者が決まる日である。そして、この入札には、鹿島・大林・竹中・浅沼・清水をトップに組んだ5JVが参加することになっていたが、頭書に紹介したH社長の努力で、清水グループは、辞退を余儀なくされてしまった。
 H社長が次に目を付けたのが浅沼グループである。 浅沼は、既に竣工している奈良市の保健所と教育センターを兼ねた複合施設の建設も手がけた。この複合施設を建設するに当たり、関連する道路の使用許可を所轄署から取得していた。ところが、工期が延びて、道路の使用許可期限も延伸する必要が生じた。現場は、この延伸を所轄署に申請するのではなく、許可書の期限を自前で書き換えたというのである。この件は、ただ一社、朝日新聞だけが昨年12月17日の朝刊で報じた。しかし、明らかに犯罪である事実を朝日がニュースにしたにもかかわらず、かつ、この程度の軽微かつ単純な容疑であるにもかかわらず、所轄署は、1月21日現在、未だ捜査中との説明をしている。いずれ、事件としては、葬り去られる運命にあるものと思われる。県警OBの娘が、淺沼本社の秘書課に在席しているとのことである。さて、冒頭のH氏の浅沼下ろしは、この件を喧伝することによって、効を奏することはなかった。そこで、H氏は、次にこの複合施設の建設工事中に事故によって、作業員が負傷した事実を巷間に流布させた。浅沼は、その作業員の傷の治療を労災ではなく、自前で行なったともいう。経営事項審査への影響を考えてのことか。そして、遂にH氏は、この工事も浅沼が落札することになっている、と談合の存在さえ、ほのめかすに至っている。H氏の次々の努力も報われず、浅沼は、なお健全で4組のJVの一翼を担っている。奈良市の最高幹部職員の一人も、それら二つの事実を認めつつも、司直が動いてくれなければ、浅沼外しは無理だと達観してる。H氏のここまでの涙ぐましい努力、それは、単に自らが参画する鹿島がトップのJVに勝利をもたらしたいためだけの努力なのであろうか。
 このH氏と仲川市長の結びつきは、関係者の間ではよく知られたことである。一例をあげれば、先の奈良市長選で仲川候補の選挙事務所にあてられた土地はH氏の所有地なのである。